これは、一青年への凶禍の予言から、実際的凶運の発現、さらに改名による転禍為福(わざわい転じて福となす)、そして信念欠如によりふたたび転落に陥るという、長期間にわたる記録である。
作業中の怪我をきっかけに改名
〇〇県〇〇温泉の旅館に勤務している柳さんが、「ちょっと知人の名前を鑑定してあげてほしい」と言って来られたのは、3年ほど前のことであった。
知人の名前
上の示すごとく、急変難、不時の災禍、非業破滅、苦しまなくてもよいことに苦しみ、急変没落の暗示あり。
と、ありのままに説明し、さらに奥秘に基づき、だいたい何歳の何月頃と月日まで算定したが、当時、山本氏は「この説明は適当ではない」となんら意するところ無く、そのまま黙殺されてしまった。
その後、私もすっかり忘れておった。
一年後、柳さんから、以前みていただいた山本という人は、姓名学の通り苦しまなくてもよいことに苦しみを求め、急変没落、破滅の悲運に陥り、その後、定まった仕事もなく、日雇いで働いていたが、採石中、大きい石が同氏の右腕に落下し、そのため神経が切断されたとかで、目下国立温泉病院に入院加療中であるが、医師の診断によると、腕のつけ根から切断しなければならないとのことで、
「本人は毎日泣いているが、なんとか腕を切らずに治るように助けてあげてほしい。」との依頼があった。
そこで私は、同病院に山本氏をたずね、種々学問的に説明して、「改名とは単なる文字を便宜上書き改めるためのものでは無く精神的、肉体的に生まれ変わることである」と、理を充分説明したところ、「ぜひ助けていただきたい」との切なる嘆願であったので、吉名を選び、
この姓名に自分の肉体も精神も生まれ変わったのだ。そして、自分の負傷は絶対に完全治癒するのだとの信念を、最高度に潜在意識に根づけるよう努力することである。その念力が強ければ強いほど、改名による効果は発揮し、「不可能」も可能になるものであることを繰り返し強調し、力づけて帰った。
その後、病院では切断する切断すると言いつつそのまま延び延びとなり、別の病院に転院6ヶ月あまりの療養の結果、切断せずに済んだが、右手が使用不能となったので、労災保険金約30万円あまりも給付されたとかで喜びの退院となった。
そして退院後1ヶ月ほど経過したら、不思議にもその右手が動くようになり、これは実に医学上の奇跡なりと感嘆された。
復帰からの転落
ここで、ますます感謝とともに将来の希望に向かって誠意と努力を傾注すべきであるにもかかわらず、「小人罪無し玉を懐いて罪有り」のことわざが発現するにいたった。
(※ことわざの意味…本来のままなら罪を犯すことはないのに、身分不相応の財宝を持つと罪を犯すようになること)
それは、彼が思い出したように女性関係が多くなり、30万円の保険金もわずか6ヶ月足らずで使い果たし、これはと気づいた時はすでに遅く、一時しのぎに某ラジオ店に就職したが、彼の非人道的行為は ついに店の商品を持ち出し、ことごとく遊興費に使用し、結局解雇となり、この店この街と転々するうち、ついに留置所入りになるという悲しむべき現実となったのである。
我が国民の共通した欠点は「熱しやすく冷めやすい」
もし、彼が姓名尊重の真理に徹することができたのなら、このような悲運が発生しなかっただろうと重々遺憾に思う。
唯物的本能にその霊性が狂ったのも、結局、一時的な付け焼刃的信念であったことを立証するものである。
思うに改名は、一日一日とその信念を強烈に脳裡に印刻せねばならない。